YELL NIPPON

3.11 それぞれの時 そして明日へ

沿岸応援プロジェクト

失敗は成功につながる。何事もあきらめずに挑戦することから始まると思います。

ヤマタ商店 千葉芳郎さん(陸前高田市)

プロフィール:陸前高田の広田湾で牡蠣の養殖・ホタテの販売を行っていた。

1年前のチリ地震津波の被害を乗り越え、やっと牡蠣を出荷し始めた…その矢先の大震災

震災当日。

ヤマタ商店千葉さんは、仕事で釜石の魚市場にいた。
尋常ではない揺れを経験し、すぐに家族に電話した。
しかし、なかなかつながらなかった。

一方、奥さんは陸前高田の自宅にいた。
地震が起き、停電になったので、防寒のためにお婆さんと娘さんを車に乗せた。海に行って養殖に使っていたリフトを引き上げ、自宅に戻って車を走らせたところに、津波が来た。

「いつも津波が来るっていても来なくて、騙されていてね。それが、今回は違って。一気に強い波が襲ってきた。まさかここまで津波が来るとは想像もしていなかったよね。」と奥さんは振り返る。

その頃、釜石にいた千葉さんは通れる道を探しながら山道を通って高田の自宅に向かった。
なんとか陸前高田に着いたのは夜。
無事、家族と再会できて喜ぶ一方、加工場は流され、家は津波で壊されてしまった…。

千葉さんは昨年のチリ地震で起きた津波により。養殖の牡蠣棚が大きな被害を受けていた。その牡蠣を1年かけてやっと出荷したばかり。
災害を乗り越え、「手塩にかけた自慢の牡蠣をやっと全国に届けることができる」と仕事に励んだ。」
ツブの大口注文もあり、150kgものツブを用意していた。
その矢先の大地震だった。

「ツブが入っていた冷蔵庫ごと持って行かれてさ。書類も流された。海の牡蠣だけでなく、12日に出荷する予定で準備した牡蠣もなにもかも流されてしまったよ。」

ゼロからの出発

広田湾に面する千葉さんが住んでいる地域には37件の家があったが、残ったのはかろうじて5件だけ。千葉さんの自宅も津波で壊され、私たちが取材に伺った翌日に取り壊すことになっていた。

「とにかく何から手を付けたらいいのか全く見当がつかない。部屋・物置…みんな持っていかれてしまった。海が元に戻るには10年はかかると思う。」
養殖を営む千葉さんの被害は甚大である。

しかし、「立ち止まっていてはダメだと思った。とにかく何かやらなければ…」
という強い思いから活動を始めた。

平日の日中は漁協の片づけをしながら、高台の土地を探している。
「家があった場所は、住宅を建てることのできない土地になってしまった。新たに土地を見つけなければならない.高台で産直を始めたいんです。」

千葉さんは色々考えた末、「産直の店を開く」という目標を見つけた。
多くの家が流れてしまた広田で、店を始める程の広い土地を見つけることは並大抵ではない。しかし、千葉さんはあきらめず、行動している。

失敗は成功につながる。困難の中でも希望は失わない。

その一方、長年の家業である牡蠣の養殖もあきらめていない。
「昨日、牡蠣のタネを買いに行ったんです。」
しかし…
「タネ牡蠣は集まりませんでした。今年は厳しいかも…。」
再開は簡単ではない。

しかし、希望もある。

甚大な被害があった広田町役場に勤めていた娘さんは、震災時は産休で自宅にいた。そして、無事子供が生まれた。
その姿を見ているだけで笑顔になれる。
「今は孫に助けられています。大変なことは数多くあるけれど、家族全員無事だっただけで良かった。」

そして、不思議なことが。

津波により千葉さんの家の近くに観音様が流れ着いた。
観音様を見つけた千葉さんは背負って柱だけ残った家に運び、きれいに洗った。
「驚きました。これも何かのしるしかと。」

やさしい顔をした観音様。これからいいことを運んでくれると手を合わせる。

「失敗は成功につながります。最初、ホタテを扱った時も築地では「いらない」と散々言われた。でも、モノは良いはずだから諦めずにいろいろ勉強して売り込みを続け、後々、「築地で一番のホタテ」と言ってもらえるほど評価してもらえた。何事もあきらめずに挑戦することから始まると思います。」

今後はタコとツブの販売をしていく。
「そのために、煮たこのおいしい作り方を習います。」

数多くの困難の中でも千葉さんは希望を失わず、前に向かって歩いている。

失敗は成功につながる。何事もあきらめずに挑戦することから始まると思います。

写真

◆ヤマタ商店(千葉芳郎さん)

Shopping URL: http://www.magariya.net/makers/yamata/
  陸前高田の広田湾で牡蠣の養殖・ホタテの販売を行っていた。
今後はタコとツブの販売をしていく予定。

ヤマタ商店 千葉芳郎さん(陸前高田市) へのコメント

  1. (株)アクティブ 近藤様 より:

    今日で東日本大震災から1年。
    ヤマタ商店さんの千葉さん一家をずっと探してしました。
    私がヤマタ商店さんを知ったのは
    当社のホームページ製作会社さん(岩手県内)から
    お歳暮でホタテや牡蠣を頂いたのがきっかけでした。
    とても大きくて、美味しくって…
    また食べたい!私の知り合いにも食べさせてあげたい!と思い
    どこで買えるのかと聞いたところ
    『ヤマタ商店』さんと聞き、直接注文をしました。
    自宅用に、お歳暮用に..と注文させていただきました。
    年末の海産物が高値になる季節にもかかわらず
    リーズナブルな価格でしかも美味しい。
    毎年、注文しよう!
    と思っていた矢先 大震災。
    ホームページ製作会社にヤマタ商店さんの安否を聞いてみたけど
    わからない…と言われずっと気になっていました。
    が、今日 千葉さん一家が皆さんお元気なのを
    このページで知り大変嬉しく思っています。
    そして 新たな道に進まれた事も知り
    胸が熱くなりました。
    お元気で本当に良かったと思います。
    千葉さんの商品がまた購入できることを楽しみにしています。