YELL NIPPON

3.11 それぞれの時 そして明日へ

沿岸応援プロジェクト

自分達の店を自分達できれいにして、自分達の力で開店させたい。

カリー亭 小幡勉さん(宮古市)

プロフィール:岩手県宮古市でカレー専門店「カリー亭」と焼き鳥居酒屋「鳥もと」を経営。

仕込み中に起きた地震、そして津波

 「3月11日は金曜日という事もあって、「鳥もと」(宮古市大通り)が予約で満席だったんです。その仕込み中に地震がきて・・・今まで経験したことが無い激しい揺れで、すごく長く感じたなあ。」
大きな揺れが治まり、車のラジオをつけると大津波警報が流れていた。3日前の地震の時も、津波警報が流れ水門が閉まったが、その時は津波はさほど大きくはなかったという。しかし、「今回はただごとじゃない」と感じ、従業員達の安否確認のためにすぐに「カリー亭」に向けて車を走らせた。
通い慣れたいつもの道は道路の片側半分は流れ出た泥で埋まり、今まで見た事の無いその光景にすぐに被害の大きさを実感したという。
「店に着いてみると思ってたより物も落ちてなくてむしろ驚いたね。とにかく従業員にここにいたら危ない!すぐ逃げろ!と言って避難させました。」
店を閉め、急いで高台にある自動車専用道路に向かった。車で走りながら後ろを振り返えると先ほど通ってきた道路に水が来るのが見えた。みるみる街に流れ込む津波。実際に目の当たりにしていても、まるで現実感がない。「あそこにいれば車が水に濡れたな・・・という感覚で眺めていたなあ。」

誰もが呆然としていた震災直後

 ひとまず高台の自宅に戻った小幡さんですが、やはりもうひとつの店「鳥もと」が心配で今度はスクーターで行ってみたそう。
「45号線は鍬ヶ崎の家が流されてきたのか、崩れた木材が道を塞いでいて通れない。仕方なく抜け道に入ったけどそっちも崩れた家が道を塞いでいてそれ以上スクーターで進むことができなくなってしまってね。戻りたくても押し流されてきた物でどんどん道が埋まっていく。道を行く人たちも呆然としていたね。みんな自分のことで精一杯という感じだった。」
どうにかこうにかたどり着いた店は2メートルぐらいの高さまで水が流れ込み、水圧で建物の壁が崩れていた。

カリー亭再建へ向けて

 焼き鳥居酒屋「鳥もと」は被害が大きかったが、カレー専門店「カリー亭」は正面にある山に津波がぶつかり幸い店舗にあまり大きな被害がなかった。
小幡さんは「よし!『カリー亭』だけでもをいち早く立ち上げよう」と決意したという。
しかし、ライフラインが元に戻らないことにはカレーを作る事もままならない。水は比較的早く復旧したが、電気がなかなか回復しなかった。それでも無事だった自分たちにできる何かをしなければという思いから、従業員と一緒にボランティア登録することにした。その名も「TORIMOTO災害バスターズ」。
その後、3月25日に電気が復旧するまで「TORIMOTO災害バスターズ」は高齢者宅の家財道具を運んだり、撤去作業などボランティア活動に取り組んだ。
震災からおよそ20日後の3月30日ようやく「カリー亭」を再開。
塩害にあったボイラーや機械を入れ替え、4月29日にはファンも待ちわびたレトルトカレーを再開した。「カレーを食べて元気な毎日を送ってほしい」と5月末まで店ではカレーを350円で販売した。

これまでも、これからも・・・変わらない思い

 「こだわりの食材を使ったカレーをこれからも作っていく。材料はなるべく岩手県産のものでね。同じ鶏肉でも岩手県産と外国産では値段が3倍も違うけど、味もやわらかさも全然違うから。油も大東町の菜種油と決めている。」震災後、物資の輸送が滞り、食材を入手するのは難しかったが、「カリー亭の味を築いてきた食材を変えることはできない」と小幡さんは言う。現在は畑を借りて玉ねぎ、にんにくを作っている。「良いものが収穫できると思うよ。カレーが美味しいから買おうと思ってもらえるように、お客さんが納得できるカレーを作り続けていく。生き残った人は頑張れば何とか復旧、復興できると思う。

 僕があきらめたら全てがおしまいになる。従業員は、皆早く『鳥もと』もやりたいと言っている。自分達の店を自分達できれいにして、自分達の力で開店させたい。働かないと体にも心にもよくないからね。」
小幡さんの思いはこれからも変わらない。

僕があきらめたら全てがおしまいになる。従業員は、皆早く「鳥もと」もやりたいと言っている。 自分達の店を自分達できれいにして、自分達の力で開店させたい。

写真

◆カリー亭(小幡 勉さん)

岩手県宮古市でカレー専門店「カリー亭」と焼き鳥居酒屋「鳥もと」を経営。
Shopping URL:http://www.magariya.net/makers/curry-tei/
各種カレーを販売しています。
◆(左)チキンカリー、マイルドチキンカリー、キーマカリー、ビーフカレー
◆(右)インド風ほうれん草カレー(サグ)、海老カレー、ホタテカレー
カリー亭 商品

カリー亭 小幡勉さん(宮古市) へのコメント

  1. 12月3日、4日ココロハコブプロジェクトご一緒できて嬉しかったです。
    美味しいカリーを楽しんでおります。

    出逢いというのは摩訶不思議でございます。

    私にとって東北はどこもかしこも故郷ですが・・・岩手は忘れられない1番めの故郷。そして伴侶となった人の故郷です。宮古では義父が駅長をやっておりました。

    ココハコプロジェクトの時は思いつきませんでしたが・・・カリーとりんごの森って相性よさそうですが・・・

    カリーを食べて、りんごの森を飲む・・・カリーを食べながら、炭酸で割ったりんごの森を飲む・・・いかがでしょう?

    親ばかのように、愛おしい「りんごの森」です。
    そして、何より食いしん坊です。
    美味しいものをいただく時が至福のひと時ですね。

    今度、またセッション企画いたしましょう。
    どこえなりとも飛んで参ります。

    またお会いできますこと、楽しみにしております。

    • STAFF より:

      エールニッポンにコメント頂き、ありがとうございます。

      宮古で御養父様が駅長をされていたんですね。
      大志田様の宮古への思いはひとしおかとお察し致します。

      被害の大きかった宮古市において
      震災後、いち早く店舗を再開し、カレーを350円で提供した
      カリー亭さんに、多くの人が勇気づけられました。

      自分たちも被害を受けているのに、ボランティアとして各地に
      駆け回り、人のために尽力したカリー亭の小幡さん。

      訪ねて行ったエールニッポンスタッフ温かく迎えて下さった
      笑顔とカレーの美味しさは忘れられません。